こんにちは。中間試験の時期ですね。大学生のみなさんはテスト勉強やレポートの作成に追われているのではないかと思います。かくいう僕も課題に追われ、忙しい日々を過ごしております。
ところで、本を読んでいると本を読みたくなりませんか。同じ作者の別の作品や読んでいる本に引用されている作品、作者が強く影響を受けたといわれている作品など、1冊の本から芋づる式に、本から本へ、興味の対象が広がるといった経験は誰しもあると思います。今回は最近読んだ本について、「本から本へ」をテーマに書いてみようと思います。
まずはここから。
・彩図社文芸部編纂「文豪たちが書いた 耽美小説短編集」
この本はタイトルにある通り、文豪たちの耽美な短編を集めたものです。兄妹愛や主従関係など、色々なかたちの愛が描かれています。その中に、谷崎潤一郎の「刺青」という短編があります。器量の良い娘が刺青を施されて魔性の女へと変身する話です。「娘」から「女」へ豹変した後、刺青を施した刺青師の清吉にこう言います。
「お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」
ドキッとしますね。
「刺青」があまりに印象的だったので、これを機に谷崎潤一郎の作品を読んでみようと思い代表作である「春琴抄」「痴人の愛」を読むことにしました。
「春琴抄」は、美しく盲目の師匠春琴とその弟子佐助の師弟愛を描いた作品で、「痴人の愛」は、真面目な男がナオミという少女の魅力に取り憑かれ破滅していくさまを描いた作品です。
「刺青」「春琴抄」「痴人の愛」を読むと、いずれにも魅惑的な美しさをもった女性が登場することが分かります。同じような女性を何度も作品に登場させる谷崎潤一郎という小説家は、いったいどんな人物だったのだろうか。そんな疑問から、谷崎潤一郎とその作品について解説した本を探しました。
この本には、谷崎潤一郎が永井荷風やクラフト・エビングの著作から影響を受けて、自身のマゾヒスト的な気質に気付き、それを文学的に表現する可能性を見出したことが書かれていました。
・永井荷風 「あめりか物語」
たしかに永井荷風の「あめりか物語」には、「酔美人」や「長髪」など男女の官能的な物語が収録されており、谷崎潤一郎が影響を受けたというのも納得できます。クラフト・エビングの「性的精神病理」は購入できなかったので大学の図書館で閲覧しました。性的倒錯に関する研究や事例がまとめられており、マゾヒズムに関する記述も多くありました。
そしてこの後も、谷崎潤一郎「陰翳礼讃」「鍵」、ロレンス「チャタレイ夫人の恋人」、三島由紀夫「作家論」、シェイクスピア「オセロ」...と読みたい本が次々に増えていきましたが、いずれもまだ読めていません。積読本が多いのは、昔から僕の悪い癖ですが最近一層ひどくなったと思います。
以上、最近読んだ本の紹介でした。最後まで読んでいただきありがとうございます。
文:浜辺