名大祭の古本市に四日連続で通おうとしたが断念した

名大祭がありましたね。

2年ぶりのオンサイト開催、楽しかったですね。

そんな名大祭には古本市がありますね。

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四日間開催で随時品が入れ替わり、掘り出し物があるかもしれない......つまり四日連続行くっきゃないということです。

 

 

ーーこれは四日連続古本市に行こうとして普通にギブアップした人間の記録である。

 

 

1日目

13時開始とのことだったのでその5分前くらいに会場に行ったら、すでに多くの人が本を物色していた。そう、戦に卑怯もラッキョウもないのである。高校時代に「受験日は同じだけど、スタートダッシュはいくらでも早く切れる!」みたいなことを言っていた教師及び塾講師を思い出した。あの時は定型文しか吐けないゴミと思ってごめん。実際ゴミだったけどな。そして目の前に繰り広げられてる現状もゴミだわ。そう、真面目に定刻通りきた私がバカだった! というわけで正直者が損する社会に復讐するため、明日は早めに行く。

 

それはそれとして、目の前の戦いに勝たねばならない。すなわち、目当ての品を敵より先に確保する必要がある。そのために基準をある程度事前に決めておいて、その基準に合う作品は機械的に手に取ることにしていた。私に抜かりはない(?)

そしてその基準とは、

 

岩波文庫、又は講談社文芸文庫の本であること

 

である。この二つの文庫の本は、なぜだか知らないが(多分売れないから)高額なので、とてもじゃないが新刊で買うと破産してしまうからである。あと岩波は絶版もちらほらあるので。あ、あと新潮社の純文学書き下ろし特別作品と書き下ろし新潮劇場も欲しいかも......などと考えているうちに、人は中古本を買い漁る悲しい生き物へと変貌を遂げるのだ。ザムザもびっくり。

 

 

 

戦果

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エキゾチカ 中島らも

ホフマン短編集 ホフマン

外套・鼻 ゴーゴリ

ティファニーで朝食を カポーティ

群狼の旗 夢枕獏

日本列島七曲り 筒井康隆

ヨーロッパ・古城の旅 井上宗和

Lotta Wennäkoski のCD

永沢君 さくらももこ

 

計 ¥1,000

 

ホフマン、ゴーゴリカポーティを安く買えてニッコリ。安いとたくさん買っちゃうね。ダメだね。

中島らも夢枕獏筒井康隆さくらももこあたりは完全に自分の趣味である。永沢君は昔読んで本当に面白かったので、買えて嬉しい限り。

そんでもって海外行きたいな〜と思っていたらヨーロッパの古城の本を無意識に買ってしまった。蛍光ペンで地名に線が引いてあったりして、きっと前の所有者は妄想ヨーロッパ旅行でもしたんじゃないだろうか。そう思うとなんだか心が弾む。

Lotta Wennäkoskiはフィンランドの現代作曲家で、作曲者も作風も全然知らないで買ったのだが、非常に良い内容だった。これだからジャケ買いはやめられない!

 

2日目

昨日は早めに行こうと思っていたが、実験とかやっていたら普通に無理だった。己の勤勉さが憎い。実験計画が下手くそとかではなく、勤勉さが。

 

戦果

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現代有機化学第六版 上下 ボルハルトショアー

生命の起源と生化学 オパーリン

花を咲かせるものは何か 瀧本敦

アンクル・トムの小屋 上 ストウ夫人

小栗虫太郎集 小栗虫太郎

私設博物誌 筒井康隆

黒猫・黄金虫 ポー

酔いどれ船 北杜夫

るきさん 高野文子

花咲ける孤独 山田花子

清水碩二 Memorial Recital

管弦乐金曲集

合計 ¥2,200

 

たまには専門書を読むのもどうかしら、と思い生命科学にまつわる本をチョイスした。

アンクル・トムの小屋と山田花子は普通に買うとマジで高いので、安くて良かった。そして山田花子! 大学祭の古本市に出るとは驚きだった。まあまあレアです。

かねてから小栗虫太郎黒死館殺人事件を読んでみたかったのだけれど、手に入れたことでついに夢が叶いそう。

筒井康隆、ポー、高野文子は安定ですね。

そして目当ての純文学書き下ろし作品もあった。北杜夫作品を読むのは10年ぶりで楽しみ。

CDはとにかく変わったものを買おうと思い、中国語で全然読めないCDと全然知らない人の私家版CDを買った。

 

3日目

2年ぶりの大学祭が楽しくて、徹夜してしまった。小学生か? しかし体は普通に大学院生なので限界を迎えていた。

 

戦果

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日本の労働組合運動1 労働組合運動の根本問題

トルコ民族主義 坂本勉

魯山人味道 北大路魯山人

讃美歌

計 ¥500

 

3日目は追加補充がそんなになかったので少なめ。

割と思想が強めのチョイスにしてみたが、皆さんはどう思うか。

「讃美歌」は讃美歌の楽譜が大量に載っており、資料として最高。

 

 

 

......ここでギブアップ。

計23冊3CDという結果に終わりました。

 

元々四日連続で通う予定だったのですが、

「一度にこんなにたくさん本買っても読めない」

「徹夜明けで明日大学行くのはしんどい」

「普通にお金がなくて死にそう」

という理由で正気に戻ったので、ここでやめました。

年に一度の大学祭、来年(他大学の皆さんは今年)は皆さんも正気を失ってみてはいかがでしょうか。

 

書いたひと:榊原

 

 

ひとことレポート「君たちはどう生きるか」

君たちはどう生きるか

著者:吉野 源三郎

ジャンル:教養本(?)

 

 

 

おすすめ度★★★☆☆

中学生が眩しい度★★★★☆

 

読み始めたきっかけ:古き良き教養の本として有名らしいことは知っていた。積読になっていたが、いい加減読まねばと思い手を出した

ひとこと:ジブリ風立ちぬや朝ドラでみられるような、戦前の日本の知識人層の空気感を味わえた。精神修養、道徳、自律、みたいな倫理観はこの時代特有の感じがあるよね。現代では「あなたはあなた。みんながありのままで、肩の力を抜いて、生きやすい世の中にしていこうぜ」みたいな流れに押されてあんまり表立って言える雰囲気じゃないけど、そういうスタンスであっても承知しておくべきことだと思う。最後の展開も、安易に正義に振りらず、純粋ながら現実的な人間らしい人間がちゃんと描かれていてよかった。

真新しいことは書いてないので、新たな視点とか発想法とか気づきを求めている人には物足りないと思われる。

 

筆者:のみぞ

読んでつくって、二度おいしい

今回は「読んでつくって、二度おいしい」と題して村上春樹さんの作品に登場する料理を実際につくって、食べてみたいと思います。というのも、古本屋で手に入れた「村上レシピ」という本が手元にあり、さらに実食してみたい料理があるためです。「村上レシピ」は眺めるだけでも楽しいですが、実際の作り方も載っており、読んで食べて二度楽しめる本です。村上さんの作品についても新たな発見があるかも?と少し期待して、早速つくっていきます。

 

様々な料理のレシピがあるなかで、今回はノルウェイの森(上)で小林緑が同じ大学に通うワタナベに振舞う「おばんざい」のうち

ぼってりとしただしまき玉子 と しめじ御飯 を実際につくります。

 

ノルウェイの森(上)  文庫本 p.126

緑の料理は僕の想像を遥かに超えて立派なものだった。鰺の酢のものに、ぼってりとしただしまき玉子、自分で作ったさわらの西京漬、なすの煮もの、じゅんさいの吸物、しめじの御飯、それにたくあんを細かくきざんで胡麻をまぶしたものがたっぷりとついていた。味つけはまったくの関西風の薄味だった。 

 

この場面では、ワタナベ君が同じ大学に通う小林緑の実家を訪れ、緑がワタナベ君のために、おばんざいを振舞います。この場面で二人の関係に大きな変化が見られたり話が急展開したりするわけではないのですが、とても好きな場面です。緑が台所で一心不乱に料理をしている姿はまるでインドの打楽器奏者のようだ、とあり複数の料理を同時進行で無駄なく俊敏に作れる人、それも誰かのためを思って喜んでもらいたい、というよりかは一つ一つのやるべき作業を滞りなくこなし目の前の仕事に魂を注ぎ続ける職人のような姿に、読んでいて惚れ惚れします。

緑が実際に作ったのは正統的な関西風の料理。鰺の酢のものに、ぼってりとしただしまき玉子、自分で作ったさわらの西京漬、なすの煮もの、じゅんさいの吸物、しめじの御飯がテーブルに並びます。今回は「ぼってりとしただしまき玉子」と「しめじの御飯」を作ります。(その他は事情により見送り)

 

○ぼってりとしただしまき玉子

ボウルに卵を入れときほぐし調味料を加え卵汁をフライパン(理想は玉子焼き器)に流し込み、クルクルと巻く。作中では緑が玉子焼き器を手に入れるまでの苦労や思い入れについて綴られています。生活に必要なものを我慢しお小遣をためてやっと手に入れた玉子焼き器。あるもので間に合わせてしまう私には緑の料理にそそぐ熱量がまぶしくもあり羨ましくもあります。

 

○しめじの御飯

炊飯器にしめじ2パックと調味料を加え、さらに5cm角の昆布を一枚入れスイッチオン。昆布がポイントらしく仕上がりにどう影響するのか楽しみ。

 

完成!

 

「ぼってりとしただしまき玉子」は驚くほどおいしくできました。実際に作ったことで、この玉子焼きは普通の甘い玉子焼きではなく、ぼってりとするほど水分量の多い玉子焼きだということに気付きました。卵液をフライパンに流し込みしばらく観察していたのですが、なかなか固まらず液体のまま。このまま巻くタイミングを逃して焦がしてしまうのでは、という不安と、焦って巻いたらせっかく固まった部分が崩壊しかねないという冷静な目をもち、フライ返しと菜箸を両手に丁寧に作ったのが今回のだしまき玉子です。だし汁のジューシーさを残しつつ厚焼きの玉子焼きを作ることができたので満足な結果となりました。

 

「しめじの御飯」は醤油や塩などの調味料により、しめじの風味が際立つような優しい味でした。また、レシピに載っていた「気持ち程度の昆布」を入れてお米を炊きました。昆布の旨味と塩気によりお米がおいしくなるとのことですが、昆布の存在を感じさせるほど主張はせず、しめじの風味を微力ながら後押ししてくれました。

さわらの西京漬や鯵の酢のものなど、作中で登場する他の料理とも合うんだろうな... と

想像が広がりました。

 

今回は作品に登場する二つの料理をつくることで、緑がワタナベ君に振舞った

おばんざいを立体的に味わうという楽しさを知ることができました。

「ぼってりとしただしまき玉子」は読んでもおいしい言葉ですが実際につくっても、

やっぱりおいしい...。また、緑の料理を作るということで登場人物としての緑に注目して作品を読み返すと、作品の内包する静寂さだけが魅力ではなく、緑のもつ明るい生命力もまた、ノルウェイの森という作品の魅力なのかもしれないなと感じました。

 

みなさんも「読んでつくって、二度おいしい」読書体験をしてみませんか?

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

 

書いた人:ハナ

さがしものの思い出

 少し前の読書会で、「次に読む本をどうやって決めている?」という話題を出して下さった方がいたのですが、タイトルや表紙でびびっと来たものを手に取る、人からオススメされたものを読んでみる、とりあえず好きな作家ができたらその作品を全作制覇する、など様々な選び方が登場し、しかもそれぞれに良さがあることが分かって、非常に興味深く感じました。同時に、安牌を求めて中々決まった作家さんの本にしか手を出せない現状がすごくもったいないような気になりました。そこで、たまたま本屋に用があった友人に便乗し、書棚から薦めてもらった一冊を買って読んでみることにしました。

 

『さがしもの』

 

 

 角田光代さんによる、本にまつわる物語がまとめられた短編集です。角田さんはかなり有名な作家さんとのことでしたが、普段読むジャンルから全く外れていたこともあり、薦めてもらうまで一度も著作を手に取ったことがありませんでした。ゆえに果たして読みきれるだろうかと若干の危惧を抱きつつ読み始めましたが、穏やかな語り口と各話にちりばめられた本読みならだれもが憧れるような魅力的な展開にひきこまれ、するする読み進めることができました。全9編の内、特に印象的だったのが表題作である「さがしもの」です。

 「その本を見つけてくれなきゃ死ぬに死ねないよ」

 病床の祖母に頼まれた幻の一冊を探して奔走する少女のお話。インターネットがまだ普及していない時代のこと、少女はいくつもの本屋や古本屋に一軒一軒足を運んで地道に探しますが中々見つけることができず、祖母に報告しても「探し方が甘い」「(見つからなければ)化けて出てやる」と文句を言われる始末。大切な人の最後の望みを叶えようと努力しつつも、自身の頑張りを認めず周囲にも辛く接する祖母を理解しがたく感じていた少女が、成長後、あるきっかけを通じて再び祖母そして自分自身と向き合うようになる、というお話です。過去を振り返りつつもそれを糧に自分の行く先を定めようとする主人公の姿が、今まさに就活という人生の岐路に挑もうとしている自分に重なり、自分もこうなれたらと憧れを抱きました。

 しかし、この物語を特別印象的に感じさせたのは筋だけではなく、読中に感じた強い違和感でした。先述したように、これまで角田さんの作品を意識して読んだことはなく、実際他の8編は全く初めての文章として、新鮮な気持ちで没頭できましたが、「さがしもの」だけは序盤から覚えのある表現や展開ばかりで、非常に戸惑いながら読み進めることになりました。まさかと思い、既読の別の作品に重ね合わせてしまっている可能性や勝手に脳内で既視感を生み出してしまっている可能性を考えていましたが、中盤の一文まで来て読んだことがあるかもしれない、という疑念が確信に変わりました。

 

「〔…〕ねえ、いがみあってたら最後の日まで人はいがみあってたほうがいいんだ、許せないところがあったら最後まで許すべきじゃないんだ、だってそれがその人とその人の関係だろう。相手が死のうが何しようが、むかつくことはむかつくって言ったほうがいいんだ」

 

 死が迫る祖母のためにと奮闘する家族に相変わらずいじわるばかりの祖母の言動に思わずカチンときて言い返した主人公に対して、祖母が笑いながら伝えた言葉です。当時の自分が何をそんなに悩んでいたのか、今となっては思い出せませんが、無理に仲良くしなくてもいい、それがその人との関係なのだから、という文を読んで、近しい人だからといって無理に歩み寄らなくても、このままでもいいんだ、と無性にほっとした気分になったことを思い出しました。

 しかし、一つ一つの描写や読んで感じたことまで鮮明に思い出せるくらい前半には見覚えがあるにもかかわらず、なぜかこの文以降の後半部分の記憶は全くありませんでした。かえって、結局この後本は見つかったのか、そもそも探していた本はどんな内容だったのかなど、後半に明かされるはずの疑問の答えが気になり、続きを読みたいという欲求の覚えだけが残っている始末です。これほど影響を受け、その後の展開にも関心を持っていながら、なぜ最後まで読まずに途中でやめてしまったのか、そもそも作者にも題名にも覚えがなかったこの作品といつどこで接触していたのか、我がことながら不可思議な点はたくさんあります。しかしそれゆえに、自分でもほとんど忘れかけてしまっていて、自力では出会える可能性がほとんどなかったこの物語が、たまたま訪れた書店の棚と友達の紹介を経由して突然目の前に現れ、気になっていた続きを見せてくれるという、まるでこの短編集の登場人物たちに起こった奇跡かのような偶然に、何となく嬉しくなりました。そして、薦めてくれた友人への感謝と共に、全く予想外の物語と出会わせてくれる、友達の紹介形式の良さを改めて実感したように思いました。

 

 さて、読み返してみると本の紹介もまともにせず、結局だからなんなんだという極個人的でよくわからないエピソードばかりつらつら書き連ねるという、サークルのブログにあるまじき形式を取ってしまっていますが(大体いつもそんな感じになってしまうのですが)、書き直す時間もなくなってしまったのでどうか許してください。

 読んで下さりありがとうございました。  

黒谷

今年読んだ本など 【1月から4月まで 編】

今年から何を読んだか、何を見たか全部記録することにした。私は記憶力がカスなので、何を読んだかなどすぐに忘れてしまうためである。

小説を含む創作物は本来読者の人生を捻じ曲げる力を持ちうるのに、ただ消費して忘れるだなんて作者も浮かばれないし、何より読んでてつまらない。そんなものは読書じゃなくてただの作業だ。私は最大限捻じ曲げられてやるから、かかってこいや。

 

 

 

 

 

......という体のただの備忘録である。

ではどうぞお手柔らかに。

 

 

・: 読書会でやった本

☆: その月一番良かった本

★: 次点

無印: 特に言及がない場合、ふつう

感想になっているのか、なっていないのか、よくわからない書評付き。

 

もくじ

 

 

【1月】

卒業研究が大詰めで辛く、かと言って詰まる成果がない現実も辛く、現実逃避がてら割と読んだ。

 

 

・斜陽 太宰治

 

落ちぶれ貴族物語。なんか文章が艶かしくて良かった。と思ったら部分的に太宰の愛人の文章だったという衝撃。

 

 

・人形の家 イプセン

 

発表当時、フェミニズムの勃興と共に激推しされてたらしいが、この本の主題は女性の解放ではない。誤読が世論を動かす場合もあるのだなあと勉強になった。

同じイプセンなら「民衆の敵」の方が好き。

 

 

奔馬 三島由紀夫


三島由紀夫の遺作、「豊饒の海」の第二巻。極右の青年が主人公なのだが、どうしても三島由紀夫と重ねてしまう。この本でもそうだが、三島は理想と現実の相剋に苦しんでいたように思える、私が勝手に思っているだけだが。

豊饒の海はラボのポスドクに貸してもらったのだが、それから一年経った今なお読み切れていない。お前の任期が満了するのと俺が読み終わるのと、どっちが早いか勝負だ!(早く読め)

 

 

あゝ、荒野 寺山修司


映画「田園に死す」(後述)を年始に見て感動したため、読んだ。寺山修司唯一の長編小説。爽やかな表紙からは想像できないくらい泥臭く薄暗い小説である。どうしてこの表紙にしたのか、マジで意味がわからない。編集者のセンスを疑うレベル。

一応ボクシング小説ではあるが、主人公の叔父の話や、父親と自殺クラブの話などが並行して描かれる。自殺クラブってなんだよ。

ラスト1ページはかなり賛否が分かれると思うが、私は好きだった。

 

 

愛なき世界 三浦しをん

 

研究室ラブストーリー。卒論が迫っているのに碌に成果が出ておらず、研究が辛くなったため甘いラボ生活でも夢想しようと思い、読んだ。そしたら作中でも研究が上手くいっておらず、泣きそうになった。

研究者の描写がステレオタイプ的なのが気になるが、物語の着地の仕方はなかなか今風で面白いと思う。言ってることは陳腐だけど。

 

 

予告された殺人の記録 ガルシア=マルケス


マルケスといえばノーベル文学賞作品でもある「百年の孤独」が一番有名なのだが、長すぎてマルケス一見である私には敷居が高く、短い「予告された〜」をとりあえず読んだ。

ある男の殺人と、その周りの人物を淡々と描写してるだけなのに面白い。不思議。

 

 

夢先案内猫 レオノール・フィニ


可愛い猫ちゃんが出てくる本が読みたかったので読んだ。(犬派? 犬派のお前は何も分かっていない。)

が、ふわふわした夢のような展開の末、マジで意味のわからない終わり方をしており、非常に困惑した。可愛い猫ちゃんは?

後で作者を調べたらシュルレアリスム画家でした。通りで......。

 

 

砂の本 ボルヘス

 

ボルヘスが晩年に刊行した短編集。過去の自分と遭遇する話など、彼らしい夢想的な短編が沢山入っている。
ところで、私が小学生の時に愛読していた「パラドックス事件簿」という児童書シリーズがある。その中には表題作である「砂の本」をモチーフにした話があった。そしてそれをいつか読もうと子供心に思っていたのだが、それがこの度ついに叶ったのだ。夢を叶えるのに必要なのは、お金なんやなあ(カス)。

 

パラドックス事件簿シリーズはこれ。

博士と子供たちが探偵的なことをする、名探偵コナン方式の短編集。

博士は顔がキモい上に「ニョホホ」と笑うので、キモさが倍増している。内容はめちゃくちゃ真面目な数学の話なので安心して読んでほしい。

 

 

見た映画

普段映画は全然見ないが、年末年始くらいは優雅に過ごそうと思い、見た。

 

田園に死す 寺山修司

 

......優雅に過ごそうと思ったが、この映画は全然優雅ではなかった。

寺山修司の自伝的映画だが、主要人物が白塗りだったり、雛人形が川の上流から流れてきたり、画面が突然緑色になったり、イカれた演出が満載である。表面的な意味でのリアリズムはこの映画には存在しない

そう、この映画は映画という名の虚構であり、少年の日の思い出もまた、現在の自分が嘘で塗り固めた虚構に過ぎないのだから......

だがそうであるが故に美しく、新年早々泣いた。

 

......それっぽいことを書いてみたが、皆さんはどう思うか。

 

 

ロシュフォールの恋人たち ジャック・ドゥミ

 

田園に死す」に感情をぐちゃぐちゃにされたので楽しいミュージカル映画を見た。

ダンスは結構バラバラな上、脚本もベッタベタなのだが、音楽や街並み、パステルカラーで統一された美術がそんなことは些細なことだと言わんばかりに美しい。

この映画もこの映画で虚構に塗れており、「田園に死す」とその点で同じなのだが、表現が対照的で面白かった。(「田園に死す」が異常なだけなのだが。)

ロシュフォールの恋人たち」の劇伴はジャズピアニストのミシェル・ルグランによるもので非常に洒落ている。映画冒頭で流れる「キャラバンの到着」「双子姉妹の歌」は名曲。

 

 

ローマの休日 ウィリアム・ワイラー

 

説明不要。

何度見ても良い映画。

 


【2月】

卒論提出やら卒論発表やらで辛かったので、現実逃避がてら読んだ。

 

おしまいの日 新井素子

 

俺もおしまいだから......と思い、読んだ。

仕事中毒の夫とメンヘラ妻のドメスティックサイコホラー。そんなに面白くない。

新井素子は発想がぶっ飛んでいるので、もっとファンタジーしている作品の方が彼女らしさを味わえると思う。同時期の作品だと「くますけと一緒に」とか。

 

 

リア王 シェイクスピア

 

たまには戯曲でもと思い、読んだ。

偏屈老人と化したリア王が、娘や家臣に愛想尽かされたり尽かされなかったりする話。リア王と道化師の掛け合いが漫才みたいに面白く、終始爆笑していた。

現代で言うところの介護問題を1600年台のシェイクスピアが戯曲化しているのだから、老いた親の処遇は人類の長年の課題なのだろう。頭の痛い話である。

古典かつ戯曲なので、なかなか手を出しにくい作家ではあるが、シェイクスピアはこんな感じで結構現代に通底する面白さがあるのでおすすめ。

 

 

飢餓同盟 安部公房

安部公房全作品制覇を目指しており、その一環で読んだ。(私は数多存在する作家の中で、安部公房が一番好きである。)

田舎で除け者扱いされている人たちが村を乗っ取ろうとする話。

安部公房は人間の狂気の部分を描くのが本当に上手いと思う。読んでて気分が悪くなる。もちろんいい意味で。

とてもどうでもいいが、主人公が同級生と同じ名前だったので、そいつの声で再生されてしまった。小説にまで出てこないで欲しい。

 

 

夢十夜 夏目漱石

 

題にあるように、夢の話が10日分。
夏目漱石ってこういう話も書くんすね! という驚きがあった。が、普段の作風の方が好き。

 

 

武満徹エッセイ選 武満徹

 


武満徹、俺はお前の音楽が好きだ.....と思い、読んだ。

現代音楽作曲家、武満徹のエッセイ。最高。音楽やってる人間には全員読んで欲しいのだが、そうでなくとも日本人には是非とも読んでほしい。音楽という側面から日本とは何かを考え、その上で武満徹は何を目指したのかを読み取るのは、大変意義深いことだと思う。

まあ、この本で主に言及されている「November Steps」という曲が傑作かと言われると、別にそうではないのだが。

 

 

第四間氷期 安部公房


安部公房全作品制覇を目指して。

予言機械を発明した博士が酷い目に遭い、そして人類の未来は如何に、的な話

安部公房といえば「砂の女」や「壁」といった不条理文学・純文学作家のイメージが強いが、実はSFにおいても優れた作品を残している。

この「第四間氷期」は日本最初の本格SF長編とも言われている。当時SF黎明期だった日本で、このような強度を持った、アメリカ的なスペースオペラではないSF小説が生まれたのは幸運なことだと思う。(私のあらすじ説明が雑すぎて何も伝わらないのが残念だが。いやあ、残念残念。)

こういうところに日本SFの源流があると分かり、とても嬉しい気持ちになった。

 


やったゲーム

OMORI OMOCAT

www.omori-game.com

私はゲームが苦手なので全くと言っていいほどやらないのだが、卒論終わって特にやることがなくなったのでやった。

マザーっぽいグラフィックに、ゆめにっき的な世界観を少年期のエモさで包んでる感じですかね。マザーもゆめにっきもやったことないからわかりませんが。

まあまあ面白かった。

 

 

見たアニメ

卒論発表も終わり、かなり気が大きくなっていたためアニメ一気見をした。ちなみにアニメも普段は全然見ない。

映画もアニメも見ず、ゲームもせず、私は普段何をしているのだろうか。 呼吸?

 

地球外少年少女 礒光雄

電脳コイルの礒光雄監督最新作、というかあれから15年ぶりの2作目。

少年少女が民間宇宙ステーションでサバイバルしてるな〜と思ったら、最終的にめちゃくちゃスケールのデカいAIモノのSFになっていた。

礒光雄は徹底して子供のための話を書いているが、子供騙しでなく、本気で楽しませようとしてくるので大好き。

 

 

電脳コイル 礒光雄

 

地球外少年少女が良すぎたので、監督の過去作を振り返り。この頃から先述した主義が一切ブレてないのですごい。

 


【3月】

-なし-

読んでない! 正確に言うと、読み切れなかった!!

旅行やら卒業式やら社畜になる友人を煽るやら大学院入学手続きやらで普通に忙しく、本を読む時間と体力がなくなり、ついでにお金がマジでなくなった。

なので漫画をちょっとだけ読んでお茶を濁すことにした。

 

読んだ漫画

AKIRA1-6  大友克洋

 

絵はすごいけど、話とっ散らかりすぎて爆笑してしまった。しかし本当に絵がすごいので、それだけで最後まで読めた。

まあそんな感じなので、これはどういう話なのか? と問われると、なかなか難しいのである。

 

 

スピカ 羽海野チカ

 

ハチミツとクローバー」や「3月のライオン」で有名な羽海野チカの初期短編集。とてもよかった。

羽海野作品はややポエミーなところが苦手なのだが(小っ恥ずかしくなるので)、短編だとそれくらいが丁度よかった。

 


【4月】

大学院入学してからも書類やら何やらで普通に忙しかったが、頑張って読んだ。でも本来は頑張って読む必要なんてないはずなのにね。それこそ冒頭で言った作業ではないのか? 私はミイラ取りに行ったはずがミイラになってしまったのか?

 

☆ペスト カミュ

 

読みきれなかったが、3月中はずっとこれを読んでいた。コロナ禍に通ずるものがあるとか、そういうのは1000万回くらい言及されて皆さん飽き飽きしていると思うので、ここでは言わないことにする。というか、この作品におけるペストというのは病魔ではなく、もっと別なものの暗喩(という解釈が主流である)なんすよね。まあそのまま取っても十分面白いので、それはそれで良いと思うのだが。

 

 

珈琲店・恋人たち ゴルドー


ペストがかなりハードで疲れたので、箸休めに読んだ。男女がひたすら痴話喧嘩してるだけの戯曲が2本。面白いが、面白い以上の感想がない。

痴話喧嘩ってめんどくさいね、やっぱ誰とも付き合わなくていいや〜と、現状肯定の道具にした(するな)。

 

 

暁の寺 三島由紀夫

 


豊饒の海第3巻。借りたまま一年経過したのは普通にヤバいので読んだ。

豊饒の海は全4巻で、1・2巻は人間をかなり理想的に描いていたのが3巻の後半から理想は息を潜め、遂に人間の醜さを描き始めたなあという印象。この後どういう結末を迎えるのかとても楽しみ。

 

 

★けものたちは故郷をめざす 安部公房

 


安部公房全作品制覇を目ざして。

第二次世界大戦後の満州から、まだ見ぬ「日本」を目指して命懸けの移動をする少年の物語。この本に限らずだが、安部公房は認識の話を書くことが多く、「けものたち〜」では「日本」とは何なのかというのをテーマとして扱っている、と思う。

と漠然と思うだけなのは、読み終わった結果、私にとっての日本が何なのかわからなくなったからだ。安部公房の作品を読むたびに、分からないことが一つずつ増えていく。全作品を制覇したら、多分何もわからなくなる気がする。来年の今頃、路上で喃語を発しながら彷徨う大学生がいたら、それは私かもしれない......。

 

 

ファイト・クラブ チャック・パラニューク


前に午後のロードショーでこの作品の映画版がやっていたが、眠いからという理由で見なかった。そのときの後悔が喉に刺さった小骨の如く心の中に残っていたため、読むことにした。

そんなに面白くはなかったが、これが世に言うアレか〜と思った。アレが何なのかは読んで確かめてほしい。

 

 

読んだ漫画

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション12  浅野いにお

 

二人の少女のディストピア青春譚、の最終巻。不条理さでいえば「ペスト」に通ずるものがあるが、こちらの方は風刺的な描写が多い。

同作者の「おやすみプンプン」とかでも思ったが、浅野いにおは皆が期待する素直な終わり方に絶対にしないんやな......。

納得するのに時間がかかったが、今ではこの終わり方もアリな気がしている。

 

 

さよなら絵梨 藤本タツキ

めちゃくちゃ月並みなことを書くが、藤本タツキは漫画がめちゃくちゃ上手いと思う。絵が上手いとかではなく(絵も上手いが)。

他の人が物語が崩壊するのを恐れて絶対にやらない表現をぶち込みまくって、かつそれが表現として確立されているのは素直に憧れる。

オチがものすごく爽やかだなと思っているが、今のところ誰ともこの感覚を共有できていない。

 

 

 

 

以上。

めちゃ長い文章になってすみませんね。私は色々思い出せたので満足しています。

ではまた4ヶ月後に長文したためてお待ちしております。

 

書いたひと:榊原

春終わり、好きな本で五十音

 

 eです。四月下旬に、愛する羊文学のニュー・アルバム『our hope』がリリースされて、春に殺されかけていたところをなんとか救ってもらいました。少女病を患っていたときは、どうしても<春が好きな女の子>でいたかったので、好きな季節は?と聞かれたら、うーん、春かな?(特に何もないのに何かに思いを馳せているような顔をする)と答えていたこともありましたが、はっきり言って、春はめちゃくちゃ苦手です。桜がきれいに咲いて光っていようが、夜の凍えるような寒さから解放されようが、私は、春がくると、おしまいの気持ちになり、常にちょっと震えています。今年は特にひどくて、えーん、なんだこれー?!という感じでした。

 というわけで、読書も映画鑑賞も捗らず、これといってブログに書くネタもないのですが、さっき歯磨きをしていて、何を書こうかなぁと、しゃこしゃこ考えていたら、五十音で好きな本紹介とかするのがいいかも!という気持ちになったので、今回は、私の好きな本のタイトルを五十音順に紹介してみます。(作者様の敬称略。e コメント、あるいは作中の好きなフレーズを添えて)

 

あ あしながおじさん(J・ウェブスター)

  大学の受験期に狂ったように五回は読みました。今読み返したら、少女病を再発する恐れがある胸アツ児童文学です。

い 犬のかたちをしているもの(高瀬隼子)

  死んだものにたいして、過去形ではない祈りをささげることの不思議を感じました。よみやすく、すばらしい!

う 生れた時からアルデンテ(平野紗季子)

  ”棒付きアイスほどクライマックスに集中しなくちゃいけない食べものはない”

え 選ばれなかった冒険(岡田淳

  登場人物が夢にまででてきて軽くホラーでした。小学校高学年は岡田淳さんの物語と共に過ごしました。

お おんなの女房(蝉谷めぐみ)

  はじめて読んだ時代小説。スタッカートとレガートが同居していて、美しい文章の流れを楽しめます。

か かか(宇佐見りん)

  ”人間が信仰を捨てることはままある、そいでも信仰を取り戻すことなんてできるんでしょうか。”

き 昨日星を探した言い訳(河野裕

  THE思春期小説という感じです。本のカバーもカバーを外した表紙もかなり気に入っています。

く クレーの絵本(谷川俊太郎

  ”どんなよろこびのふかいうみにも ひとつぶのなみだが とけていないということはない”

け 蹴りたい背中綿矢りさ

  この作者さんを好きになったきっかけの本です。この方の『しょうがの味は熱い』という本もお気に入り。

こ コンビニ人間村田沙耶香

  ゲラゲラ笑いながら何度も読みました。ガムみたいにずっと噛んでいたい、別れがたいリズムの良さ。

さ サイレンと屑(岡野大嗣)

  この方の生み出す歌に惹かれています。自分のトイレにもこの方のにゃーの歌のカードを貼っているのですー!

し 斜陽(太宰治

  読書サークルで太宰と出会うことができ、読書サークルに強火の感謝をしております。入ってよかったです……

す 彗星の孤独(寺尾紗穂

  ”自分の心を表現して発言することは、心の風通しをよくすることだ。”

せ 正欲(朝井リョウ

  朝井さんは読みやすくて、私の青春です。多様性を「受け入れる」という言葉の違和感を教えてくれます。

そ 空が分裂する(最果タヒ

  この方の言葉を捕まえることが苦手ですが、地球を見知らぬ乗り物で旅行している感覚は癖になります。

た 滝山コミューン一九七四(原武史

  教育学部の方には読んで欲しい一冊です。タイトルのかっこよさよ。中身も宝物です。

ち 茶色の朝(フランク・パブロフ)

  かつて好きだった人間にもらったので大事にしています。世界が荒れている今こそ、読むべき本だと思います。

つ 冷たい校舎の時は止まる(辻村深月

  伏線の張り方が一番好きな作家様で、この小説の愛蔵版ももっています。

て 寺山修司少女詩集(寺山修司

  海で読むと、この詩集と海の境目に立てて、よいのです。寺山修司さんは『あゝ、荒野』も読んでみたいです

と 図書館戦争シリーズ(有川浩

  ドハマりしました。このシリーズでは『図書館内乱』が一番好きです。小牧教官と毬江ちゃんを推しています。

な 夏物語(川上未映子

  「共感」というものを再定義し直しました。反出生主義と握手をするきっかけにもなった本です。

に 西の魔女が死んだ梨木香歩

  薬のように、苦しんだときに何度も読んでいます。少女だったときに出会いたかった物語です。

ぬ ★ ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(大前粟生)

   思いつかなかったので、読みたい本です……めちゃくちゃ読みたい、ぬいぐるみとしゃべる人は優しいと思うし。

ね 猫を抱いて象と泳ぐ(小川洋子

  チェスを題材にしていることに惹かれ読みました。描写の生々しさと温かさのバランスが美しいです。

の ★ ノルウェーの森(村上春樹

  またも思いつかなかったので、再挑戦したい本を。高校生の時に一度途中まで読み、挫折しました。

は パリの砂漠、東京の蜃気楼(金原ひとみ

  ”目を閉じて浮かぶものと、今目を開けてそこにあるものの差が耐え難い。ここにいたくないのにここにいる。”

ひ 暇と退屈の倫理学國分功一郎

  暇で狂いそうだったときに読みました。今はこの方の『中動態の世界ー意志と責任の考古学』を積ん読しています。

ふ プシュケの涙(柴村仁

  物語の構成が天才。これはこだわりですが、メディアワークス文庫版が好きです。分かる人には分かると思う。

へ ヘヴン(川上未映子

  自分の価値観を殴られ、最後まで抱きしめてはくれないのに、なぜか勇気が出る。世界は一つなのだなと思います。

ほ 星の子(今村夏子)

  誰かの創造物の中で語らる信仰にかなり興味があります。今村さんの本で一番好きなのは『こちら、あみ子』です。

ま 丸の内魔法少女ラクリーナ(村田沙耶香

  ぶっ飛んでます。大好きです。私も魔法少女だったので、その時の記憶が蘇り爆笑しながら号泣しました。

み ミシンと金魚(永井みみ)

  老いをここまで美しくなく、なまものとして描くことができるのかと鳥肌が立ちました。独特な疎外感を抱きました。

む ムーンライト・シャドウ(よしもとばなな

  『キッチン』に収録されている短篇です。この方の神秘は触れやすい。エドモンド・ヨウ監督が映画化もしています。

め ★ めぐり糸(青山七恵) 

  また思いつかなかったので、読みたいものを。青山七恵さんの「ひとり日和」推していますゆえ。

も 百瀬、こっちを向いて(中田永一

  タイトルに惹かれ読み、ときめきと切なさに痺れ、えー?!この作者さん、乙〇さんなの?!と驚いた記憶あります。

や やがて、海へと届く(彩瀬まる)

  東日本大震災をもとに書かれたものです。残された人間の寂しさが光っています。切実な物語ととらえました。

ゆ ユリイカ青土社

  本ではないですが、激推ししている月刊誌です。特に「ぬいぐるみの世界」「特集 岩井俊二」は宝物にしています。

よ 夜と霧(ヴィクトール・E・フランクル

  ナチス関係の本をよく読むのですが、この本と『アンネの日記』は、やはり自分にとっては特別です。

ら ★ ライ麦畑でつかまえて(J.D,サリンジャー

  めちゃくちゃ好きだったことは確かなのですが、それ以外の全てが記憶から抜けているので再読したいです。

り リトル・バイ・リトル(島本理生

  淡々とした文章の中で、指を澄ますと聞こえる息遣いのようなものが本当に好きで、島本作品は全部読んでいます。

る 流浪の月(凪良ゆう)

  読みやすく、硝子細工で殴ってくるような物語展開が最高。李相日監督が映画化してくださり、ありがとう世界です。

れ レインツリーの国有川浩

  ネット上のやりとりから始まるときめきトウィンクルな恋愛小説。(好きすぎて二次創作にも手を出しました。)

ろ ★ ロングコートダディ 

  本でもなんでもないです。あまりに思いつかなかったので、大好きなお笑いコンビを紛れ込ませておきます。

わ わたしを離さないで(カズオ・イシグロ

  生命倫理に関係する本です。いのちの隙間にあり、常に夜に置いてかれたような切ない音楽が聞こえます。大好き。

 

 思いのほか、時間がかかり、へとへとになりました。や行の「い」と「え」を抜かして、わ行は「わ」のみなので、実際のところ四十四音です。私はどちらかというと作家読みをするタイプだったのですが、大学生になり、本って誰が書いていても大体は面白いんだね?!と、世紀の大発見をしてから、色々な作家さんの本を読むようになり、半年ほど前からは、死んだ人間が書いた作品も好きになりました。死んだ人間は、SNSをやらないし、その人の文章だけが残されていて、もうどうしてもこちらの声があちらに届くことはなく、未来で私を幻滅させることもないと信じていられるので、そのあたりがとても気楽で、その気楽さが癖になっています。

 夏、また本格的に読書を再開したいです。今は、宇佐見りんさんの新刊『くるまの娘』を読むことと、実写版の「流浪の月」、ローベル・ブレッソン監督の「たぶん悪魔が」を映画館へ見に行くことを楽しみに生きています。「たぶん悪魔が」に関しては、すでにBlu-rayになっていますが、映画館で見られるならそれに越したことはないと思っています。

 

 

 

 よかったら、みなさんも、好きな本の五十音チャレンジやってみてくださいね。

 それでは、また。e でした。

 

 

記憶削除

嫌な記憶消を消したい。
少なからず嫌な記憶というものは皆さんあると思いますが、その記憶を思い出した時どのように対処していますか。

ちなみに私は想像上で頭を消します。頭に銃を当て脳を撃ち抜く瞬間を想像をします。バンッと。すると不思議なことに私の脳は、嫌な記憶を思い出すことをやめ、恐ろしく広いまっさらな空間を提供してくれます。思い出しそうになるたび私は脳を殺しています。なんだか物騒ですがただの想像ですし消したい記憶も自分の恥ずかしかった言動とかなので大したことはありません。昔は紙に止めろ!!と書き殴ったりして思い出すのを制止していましたが、傍から見たら痛い人間かただのヤバイ奴ですね。

さらにもう一つ、私は妄想によって記憶を上書きしています。私は結果を知っているわけですから正しい行動をし自分の都合のいいよう事が進んだことを”現実”にして嫌な記憶を薄れさせています。しかしながらこれはあまりお勧めできません。変えることのできない事実に引き戻されると現実の無能な私がひょっこり顔を表し、かえってショックを受けます。

 

どちらも記憶自体はしっかり残っているので根本的な解決にはなっていませんね。時間が記憶を薄れさせてくれはしますが私は消したいときに記憶を消したいです。
ですから記憶削除装置的なものが欲しいです。
都合の悪い部分だけ消して幸福を得たい。どんな記憶が消えたのかわからなければ幸福感を得られるか怪しいですが。

 

さて前置きが長くなってしまいました。
記憶を消すことにちなんで山田悠介さんの「メモリーを消すまで」をご紹介します。

www.kawade.co.jp

 2030年、日本では不況を背景に社会不安が増大し、様々な犯罪が多発し、重罪化していた。政府は犯罪撲滅のために人間の記憶をメモリーチップによって出し入れできる装置を開発し、全国民に脳内にメモリーチップを埋め込むことを義務付けた。経験したことすべてを記録することで自らの犯罪が絶対の証拠となり犯罪の減少、冤罪撲滅が期待されている。犯罪者たちは懲役刑に加え、更生のため犯罪に関する記憶を消され、記憶が消された事実のみを知らされる。重罪なものは生まれた時からの一切の記憶を消され、再教育される。

 人権を無視した現実では到底容認されないような設定がたくさん出てきます。突っ込みどころ満載ですが、実際に起きたら怖い設定にとてもゾクゾクさせられます。
記憶自体は記憶操作センターといった施設に管理されているようですが、管理しているのは人間であり、組織の中はかなり腐敗しています。組織内の権力闘争に記憶削除装置が使われ、事実は隠蔽されています。物語はメモリーチップ装着が義務付けられた65年後、2095年が舞台です。主人公は記憶削除を執行する機関の記憶操作官で、組織内で不正に記憶削除が行われていることを知ってしまい権力闘争に巻き込まれていきます。

あと8年で2030年ですが、記憶削除装置なるものは誕生しているのでしょうか?楽しみですね。

気になった方は是非読んでみてください。良いGWを。

 

書いた人 がおさん