名古屋大学読書サークル

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座右の書

こんにちは。 今回の担当は、3年のハルです。
 
初めて担当する記事なので、自己紹介がてら僕の座右の書である「超訳 ニーチェの言葉」という本を紹介したいと思います。
 

この本とは中学生の時に父親の本棚で出会いました。
最初は本の見た目が強そうという理由で持ち歩いていましたが(僕の中二病はかなり深刻でした)、そのうちにニーチェの思想に魅力を感じるようになり、今では寝る前に読まないと落ち着かないほどに僕の人生に欠かせない一冊となっています。
 
 
題名が「ニーチェの言葉」なので、哲学書のような小難しい内容を想像する方もいると思いますが、中身は中学生でも楽しめるくらいにシンプルです。
一般的な哲学書のように、論理的な語り口で体系的にまとめあげられたものではなく、ニーチェの哲学の特徴でもある情熱的な文章で綴られた断片・断章を編纂したものとなっています。
ちなみに僕は詩集のような感覚で楽しんでいます。
 
 
ニーチェの言葉の魅力は「生きた表現」です。
この作品の著者によると、ニーチェの言葉は急所を突くような鋭い視点、力強い生気、不屈の魂、高みを目指す意思が新しい名文句とも言える短文で発せられるから多くの人の耳や心に残るのだそうです。
実際にニーチェの言葉に触れていると、まるで本人に語りかけられているかのような迫力を感じることがしばしばあります。
特にその日の気分や思考にぴったりな言葉に出会えると、強烈に心に響いたりするんです。
 
 
論より証拠ということで、僕のお気に入りの言葉を3つだけ紹介させていただきたいと思います。
 
 
 
一つめは、
・朝起きたら考えること
一日をよいスタートで始めたいと思うなら、目覚めたときに、この一日の間に少なくとも一人の人に、少なくとも一つの喜びを与えてあげられないだろうかと思案することだ。
その喜びは、ささやかなものでもかまわない。そうして、なんとかこの考えが実現するように努めて一日を送ることだ。
この習慣を多くの人が身につけていれば、自分だけが得をしたいという祈りよりも、ずっと早く世の中を変えていくことだろう。
 
(本文より抜粋)
中学生で初めてこの本を読んだときからずっと素敵だなと思っている言葉です。朝起きたときにこの言葉を思い出すと、普段よりちょっとだけ爽やかな気持ちになれます。皆さんも是非実行してみてください。
 
 
2つめは、
・いつかは死ぬのだから
死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。
いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう。
時間は限られているのだから、チャンスはいつも今だ。
嘆きわめくことなんか、オペラの役者にまかせておけ。
 
(本文より抜粋)
 
嫌なことがあるといつもこの言葉に励まされています。言ってることはすごいありきたりですけど、言い回しが力強くて好きです。特に、「嘆きわめくことなんか、オペラの歌手にまかせておけ」の部分が好きです。
 
 
3つめは、
・自分の哲学を持つな
「哲学を持つ」と一般的に言う場合、ある固まった態度や見解を持つことを意味している。しかしそれは、自分を画一化するようなものだ。
そんな哲学を持つよりも、そのつどの人生が語りかけてくるささやかな声に耳を傾けるほうがましだ。そのほうが物事や生活の本質がよく見えてくるからだ。
それこそ哲学するということにほかならない。
 
(本文より抜粋)
 これは最近気に入っている言葉です。自分の直感や体験を大切にして生きるのって難しいですよね。特に環境に流されやすいといわれる日本人に足りていない意識なんじゃないかなと個人的に思っています。
 
 
 
いかがでしたか?本作には例に挙げたような、よく生きるためのヒントとなる言葉が232個集録されています。
コロナウイルスの影響で外出自粛を強いられる今、時間を持て余している方も多いのではないでしょうか。そんな今こそ、ニーチェの言葉に触れて自分の人生についてゆっくり考えてみるのもいいかもしれませんね。気になった方は是非読んでみてください!
 
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。
 
 
文:ハル
本:「超訳 ニーチェの言葉」 著)フリードリ・ヒニーチェ 訳)白取晴彦