名古屋大学読書サークル

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島国に生きる勇者たち

こんばんは。

今回の担当をさせていただきます、3年生の佐和子と申します。よろしくお願いします。4連続の3年生ということで、前回までの御三方に続けるよう、頑張って書きます。つたない筆ですが、よろしくお願いします。

 

ところで、最近暑い日が続いていますね。今日も名古屋で最高32℃とか言う、6月上旬とは信じがたい気温になってしまいました。これから梅雨も始まり、じめじめ&暑い&コロナというスリーアウトチェンジの季節が始まってしまいますね。(ちなみに当方、野球には詳しくありません、あしからず)今年の8月とかどうなっちゃうんですかね。毎年この時期になると同じことを言っている気がするのですが…

 

これから暑い日が続きそうとのことで、私からは夏にぴったりな、海を題材にしたお話を紹介させていただこうと思います。

ウィティ・イヒマエラ「クジラの島の少女」という作品です。

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https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784048970396

ニュージーランドの島を舞台にした、一人の少女と、クジラの物語です。

ニュージーランドのファンガラという村で、カフという女の子が生まれます。彼女の祖父である村の酋長は、クジラたちを従わせて海を旅して回っていた「伝説の勇者」の子孫。しかし、「勇者」の血を引く酋長はどうしても跡継ぎに男の子がほしく、女の子であるカフを邪険に扱ってしまいます。なかなか跡継ぎが見つからない祖父から冷たい目で見られながらも、カフは優しい父親や叔父、彼女を一番に理解し愛してくれる祖母に見守られながら成長していきます。ところがある日、島の岸辺になぜか大量のクジラたちが浜に押し寄せてきて…かつて無いマオリ族の危機に、カフが立ち上がります。

 

動物と人間を題材にした小説というと、「人間は自分の文明のために動物を苦しめている!」とか「もっと動物を大事にしよう!」とかいうメッセージに結びつけてしまいがちな気もしますが、この「クジラの島の少女」は、単純な「人間VS動物」の構図だけでは描かれていません。この小説に隠された真のテーマは「ジェンダーの問題」だと個人的には思っています。女の子というだけでカフを差別する祖父。カフを理解してくれる叔父。「万が一の時があれば、私は性別を男に変えるから」という祖母の台詞…人間の「男」と「女」の複雑な関係について、考えさせられます。

 

実はこの小説、映画化されています。キャッチコピーは「運命に、立ち向かえ。」だそうです。かっこいい。

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https://eiga.com/movie/51966/photo/?v=pc


今、コロナで大変な思いをしていらっしゃる方も多いと思います。今のストレスがたまり、心も体も辛いご時世、生きているだけでも勇者です。たまには本を読んで、ゆっくりほっとする時間も忘れないでくださいね。

それでは今回はこの辺で失礼します。ごきげんよう

 

共に集い、一つになれば、ことは成せり。(本文より抜粋)

 

文:佐和子

本:ウィティ・イヒマエラ 澤田真一、サワダ・ハンナ・ジョイ 訳

  「クジラの島の少女」 

画像引用:https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784048970396

     https://eiga.com/movie/51966/photo/?v=pc