名古屋大学読書サークル

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地政学による未来予測(ジョージ・フリードマン, 100年予測)

こんにちは、最近あまり本を読めていないfumiです。大学に入ってから英語の勉強を全くやってないのでそろそろやらなきゃと思いつつ後回しにし続けているので、いい加減始めたいですね(n回目)。

 

今回は最近読んだ本というわけでもないのですが、少し前に読んだ本について書いていきたいと思います。

今回書くのは、ジョージ・フリードマンの「100年予測」です。この本は、簡単に言えば地政学を用いて2080年代までの未来を予測するという本です。勿論2021年現在までの社会を見てみると予想が外れているものの方が多いのですが、クリミア危機やアメリカの宇宙軍、香港やウクライナの動きなどは割と近しいことが起きており、見当違いな予測と一笑に付すことはできないなと思いました。

 

 

 

 

 

 

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この本によると、ヨーロッパやイスラムは没落し、ロシアや中国は内部が弱まり沿岸地域から崩壊へと向かっていき、日本は軍国主義が復活しエネルギーや労働力不足から中国へ進出、トルコやポーランドも台頭していき、最終的にアメリカとメキシコが頂上決戦をするという未来が予測されるそうです。ちなみに日本は周辺地域を制圧したトルコと同盟を結んでアメリカと戦争をするものの、また負けると予測されています。

恐らくここまで聞くと、現在台頭している中国が内部崩壊とはいえあまりにもあっさりと退場しているように感じる方が多いと思いますが、この本の発刊時点ではまだ習近平国家主席が元首になっていないため、ここまで影響力のある強国になるとは予測できなかったのではないかと思います。ちなみに2009年の書籍なのでトランプ大統領もまだです。

このように、元首の能力やコロナウイルス感染症のような世界を巻き込むような大混乱など、様々な要因によって予測がズレるため、未来になればなるほど予測とは全く違った現実になるとは思いますが、あくまですべての国が合理的に動くことを前提とした予測であるため、そこはしょうがないかなと思います。

正直に言って筆者がアメリカ人であることもあってか、議論の前提条件がアメリカ寄りであったり、少し無理のありそうな仮定をおいていたりもするため、この本をまるっきり信じてしまうのは問題であるとは思いますし、むしろ批判的にみることにこそ価値のある本だとは思いますが、アメリカが強国である理由などには割と納得しましたし、未来予測の内容そのものというよりもそのアプローチ方法に興味がわきました。

コロナウイルス感染症によってさらに大きな変化が生まれたため、この先の予測についても外れることがより多くなっていくと思いますが、的中するしないに関わらず、地政学に興味のある方や国際政治に興味のある方は目を通してみることをオススメします。また、宇宙戦争なども出てくるため、現実を舞台にしたある種のSF小説のように読んだり、コロナウイルス感染症が無かった場合の世界をのぞき込むような感覚でよんだりしても楽しめるかもしれません。

 

書いた人:fumi