名古屋大学読書サークル

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通学のお供に古典文学を

皆さんは「ソラリ」というアプリをご存知でしょうか?

「ソラリ」は、著作権が消滅した、もしくは著作権者の許諾を得た作品のテキストを無料公開している電子図書館青空文庫」内の書籍を読むことができるアプリです。

自分は授業で扱う作品が収録された教科書を忘れ、教授に悟られぬようせめて作品のテキストだけでもこっそり閲覧したい、という非常に不純な目的でインストールしたのですが、せっかくいれたのだからと使う内にいつの間にか大学生活に欠かせないアプリとなっていました。

今回はその魅力を、主に自分が使っている通学時の利用という側面から紹介します。

 

おすすめポイントその①:収録作品と選び方の多様さ

 上でも触れたように、ソラリでは青空文庫に収録されている作品しか閲覧できません。著作権保護期間を終えたもの、と聞くとかなり限られているようにも感じますが、青空文庫には現段階で日本内外の作家による17,000を超える作品が収録されています。しかも、著作権が切れた作品は日々増え続け、それに従って青空文庫に収録されるテキストも増加し続けているため、作品をすべて読みつくしてしまう、という事態はまず起こりえないでしょう。

 また、アプリ内の検索画面では作者名・作品名からそれぞれ作品を探せると共に、月及び年度単位のダウンロードランキングも閲覧することが出来ます。古典作品が集まっていることもあり、ランキングに入る作品の変動はほとんど無いように感じるのですが、月単位では順位の変動が発生することもあり、なぜそのように変化したのかを順位が変わった作品を実際に読んで考えてみる、という楽しみ方もできます。

 さらに、各作品には五段階評価と一言コメントからなる有志の読者による評価も付されています。全ての作品に評価がされている訳ではなく、コメントがいくつもついているものから五段階評価すら一例もないものまでかなり幅はありますが、先人の感想を参考に全く知らない作品に挑戦したり、自分でも投稿して簡単な読書記録としたりするなど、様々に活用することが出来ます。

 ソラリでは、こうした多彩な選択方法が提示されていることで、膨大な作品群の中から自分に合った作品を見つけることが出来るのです。

 

おすすめポイントその②:無料で読める

 これはアプリというより提供元である青空文庫の魅力となってしまいますが、アプリのダウンロードから各作品の閲覧まで、基本的に一切お金を払わずに行うことが出来ます。

 代わりにページを移動する時短い動画が流れたり、画面下に宣伝のバナーが表示されることがありますが、それらの出現は主に作品選択画面やその中での移動時に限られるため、広告によって読書が中断されるという事態は発生しにくくなっています。

 また、それでも広告は嫌だ...という方向けに、250円と引き換えに広告を一切表示しなくなるという機能も搭載されています。

 どちらを選ぶかは人によりけりだと思いますが、いずれにせよ社会人に比べ自由になるお金がどうしても限られてしまう我々学生にとって、お金をかけずに多くの名著に触れることを可能にする青空文庫は非常にありがたいサービスであるといえるのではないでしょうか。

 

おすすめポイントその③:オフラインでも読める

 ソラリでは「作品の選択→作品ごとにダウンロード→テキストを表示」という閲覧の仕組みになっているため、通信環境の良い場所でダウンロードさえすれば、オフラインでも作品を読むことが可能です。よって、通信制限のかかる月末や、地下鉄の中など電波が不安定な場所でも安心して読書に集中することができます。

 

おすすめポイントその④:アプリならではの便利な機能

 ここまで読んで下さった方の中には、「今まで挙げたおすすめポイントは全部紙の本にも言えることなんじゃないか?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。確かに紙の本であれば電波状況の影響は全くなく、当然途中で広告動画が挟まることもありません。図書館から借りて来ることが出来れば、お金の問題も解決できます。

 しかし、ソラリ独自の魅力は紙の本にはない便利機能にあります。

 便利機能の一つとして、表示される一ページをカスタムできる点が挙げられます。一文字単位で調整できる折り返し字数や行間・余白の広さ設定でページ内の字数や大きさを自分好みに調整できるのはもちろん、文字や背景の色もかなり細かく指定することができます。さらに、通常時とは別のナイトモードも設定すれば、テキストのページからボタン一つで夜間の閲覧に適した色へと変更することができます。この機能を使えば、例えば通常時は早く読めるよう一ページの文字数を多めに、眠気で頭が回らない朝一の時間帯や疲れで目がかすむ帰宅時には通常時よりも派手な色かつ少ない字数で表示するなど、状況や自分の具合に応じてテキストを最適化することが可能となるのです。

 次に便利なのがしおり機能です。ソラリでは、設定ページでしおりを挟むタイミングを手動と自動のどちらかに設定することが出来ます。手動でもテキストページ上のボタンを押すだけなのでそれほど面倒ではありませんが、自動に設定しておくと、いかなる形で画面を終了しても、次にテキストページを開いた時には勝手に画面を閉じた時のページが表示されます。例えば内容に集中しすぎて降車駅のアナウンスにぎりぎりで気が付いた時など、紙の本では慌ててそのまま閉じてしまい、次に読み出す際に困ってしまう、という事態が起こりがちですが、しおりの自動機能を使えばいくら慌てて画面を閉じたり別の画面に移ったりしても、次に開いた時には必ず続きから読み進めることができるのです。

 このような便利機能を活用できると共に、片手で気軽に操作ができるため、読みやすく持とうと思うとどうしても両手がふさがってしまう紙の本と比較して、混雑した駅や車内でも扱いやすいという点が、通学のお供としてのソラリの魅力だと考えています。

 

 以上、通学時の読書ツールとしてのアプリ「ソラリ」の魅力について紹介しました。以前の記事でも取り上げている方がいらっしゃいましたが、騒音や混雑などの多少の困難はあれど、できることが限られる電車の中は、不思議と読書に集中しやすい空間であるように感じます。実際に自分は通学の電車内で時間を見つけてソラリを開き、飽きたらしおりを入れて次の時間に回す、というのを繰り返すことで、以前難しさと長さから挫折した作品を最後まで読み切ることができました。

 夏休み期間ということで、公共交通機関を利用した旅行に出かけられる方も多いと思われますが、その中で発生する長い移動時間の退屈解消に、そして新学期の通学時間のお供に、ぜひソラリを活用してみてはいかがでしょうか。

                                     黒谷