名古屋大学読書サークル

サークルメンバーがゆるりと記事を書くスペースです

夏におすすめのミステリー小説

 こんにちは。期末試験まで一週間を切って追い詰められている田村です。春学期ももう終わりですね。対面授業が本格的に始まってからの三か月余りを振り返って、ろくに読書をしていないことに気づきました…。テストが終わったら本を読む時間を作ろうと思います。最近読んだ本で記事を書くことはできそうにないので、ずっと前から紹介したかった本について書こうと思います。

 

 

 私は高校時代ミステリーにはまっていた時期があるのですが、その中でもトップ3に入るくらい好きなのがこの「ハサミ男」です。作者である殊能将之さんは実は名古屋大学理学部に在籍されていた方です。この小説の魅力についてできるだけネタバレしないように書いていきます。殺人事件が主軸となっているお話なので残酷な表現が苦手な方は注意です。読んだのがだいぶ前で、もしかしたら記憶違いがあるかもしれませんが…。

 この物語の面白いポイントは、「探偵役が殺人犯である」という点です。主人公である広域連続殺人犯エ十二号もとい「ハサミ男」は少女を狙って殺人を繰り返す犯罪者なのですが、3番目のターゲットである樽宮由紀子を何者かに横取りされてしまいます。つまり由紀子はハサミ男以外の誰かに殺されてしまうわけです。しかもその手口はハサミ男の事件を模倣したものでした。怒ったハサミ男は自身の模倣犯を見つけるために独自捜査を始めます。

 正義感も倫理観も欠如している探偵役ですが、ハサミ男はとても魅力的なキャラクターです。変な別人格がいたり、ところどころ自虐的だったり、美味しいものに目が無かったりなど、最後まで読者を楽しませてくれます。捜査パートも面白いですが、この本を読み切った後に「ハサミ男」の虜になってしまう読者は少なくないでしょう。(私もそうでした。)

 物語はハサミ男の視点と連続殺人事件を追う警察官の磯部の視点で進みます。手がかりが集まるにつれて磯部はハサミ男の正体に近づいていきます。果たして警察はハサミ男を捕まえることができるのでしょうか?

 ちょっと残酷でブラックユーモアが効いた小説です。ゾクゾクするシーンもあるので暑い季節にちょうど良いかもしれません。ちなみにこの小説は実写映画化されるほどに有名なのですが、できるだけ先入観無しで読むことをおすすめします。