名古屋大学読書サークル

サークルメンバーがゆるりと記事を書くスペースです

”ときめき”、たりてますか?

はじめまして。今回初めてブログを担当させていただきます、うしおと申します。

 

・・・ところで、今年は梅雨入りが早かったこともあって最早春が終わってしまったのではないかと思う今日この頃です。四季の中で二番目に春を好む私にとっては何とも残念なことです。春の柔らかい日差しが好きです。ピスタチオグリーンやパステルカラーといった春色も好きです。ただ春、といえば出会いの季節でもありますよね・・私のようなコミュ障民にとってはしんどい季節でもあります。今年はコロナのせいで出会いの場は少なかったと言い訳できるのが救いですがね・・・。えっ、「私には出会いありましたけど?」ですか?そんな幸運なあなたはここでお帰りください!今回は、私と同じく(小声)運が回ってこなかった方に小説経由のときめきをお届けします!

 

「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」

「咬みません。躾のできたよい子です」

 

読書がすきになったのはつい最近でして、それまではむしろ苦手だった私が、計三回は読み返している大好きな一冊、「植物図鑑」の一節です。

 

植物図鑑

植物図鑑

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2009/07/01
  • メディア: 単行本
 

 

ご存じの方も多いかと思いますが簡単にあらすじを紹介すると、家事が苦手なOLさやかが自宅前で行き倒れていた青年、樹(※けっこう男前byさやか)を酔いに任せて思わず拾ってしまうところから始まる恋愛小説です。初読の私の率直な感想は「めちゃめちゃ上質な少女漫画を読んでるみたい!」でした。嫉妬しているけど素直になれなくて二人の間にすれ違いが生じたり、読者からすると完全に両思いなのにお互い言い出せないもどかしさだったり、少女漫画の定番がたくさん含まれているのですが、絵がない分、描写が非常に細やかでドキドキするんです。終始にやけが止まりません(笑)。上の台詞は字面だけ見ると、ちょっとお巡りさんを呼びたくなりますが、そこは小説マジックですね~、歯の浮くような台詞も設定も、絵がないことと文学的表現が使われていることで中和されているのかとってもロマンチックな仕上がりです。少女漫画でこの設定だったら多分笑ってしまって入り込めないと思いますし、実際、実写化映画はこっぱずかしすぎて見てられなかったです。

 

植物図鑑 運命の恋、ひろいました

植物図鑑 運命の恋、ひろいました

  • 発売日: 2016/11/23
  • メディア: Prime Video
 

 

 樹は細やかな気遣いができて、家事全般得意で(飯テロ半端ないです)、しっかり者だけど甘え上手で、余計なことは口にしない、そして褒め上手でストレートな愛情表現をさらっとしてくれます・・・完璧ですね!天然タラシです! すっごい美形な訳でもお金持ちな訳でもないけれど、社会進出する女性が当たり前になりつつある現代ではむしろ樹のような専業主夫タイプが最も需要が高いと思われます。恋愛要素もさることながら作中に登場する季節毎の草花や樹の作る料理の数々、そして小説ならではの伏線の忍ばせ方やほのぼのとした甘さでは終わらない大胆な展開でも読者を楽しませてくれる素晴らしい小説となっております。

 

漫画大好きで数多の少女漫画を読んできた私が、最もときめいた作品がこの「植物図鑑」でした。現実で出会いがなくてしんどい方、恋人に不満がある方、ぜひ小説でときめきを補給してみてください!

 

稚拙な文章を読んでくださりありがとうございました!それでは、またいつか。

P.S.仮にあなたのおうちの前にイケメンor美女が転がっていて、いくら拾いたい衝動に駆られても拾わないでくださいね。現実では十中八九事件に巻き込まれますからおとなしく警察に引き渡してください。悲しいかな、ファンタジーはファンタジーです。

 

書いた人 うしお