こんにちは、恵です。なんとか本ブログも3周目に突入しました。
私はこの前イレギュラーで記事を更新してしまいましたが、今回も担当します。
うーーん、なに書こうかなあ。。。。。
しばらく考えましたが、大して浮かびませんでした。この前カフカでがんばったから大分燃え尽きています。
最近読んだ本を思い浮かべると、ジュール・シュペルヴィエルの書くお話や詩は凄くよかったなあと思います。
シュペルヴィエルは、19世紀にウルグアイで生まれたフランス人です。両親とともに生後すぐフランスへ帰国しますが、その際に両親が亡くなってしまい、ウルグアイ在住の養父に引き取られます。9歳で自分の本当の両親が亡くなっていることを知り、10歳に養父と共にフランスへ帰国。彼はその後の人生を通してウルグアイとフランスを行ったり来たりしながら生きることとなります。
そんな彼が書くお話や詩は、宮沢賢治を彷彿とさせる、幻想的で少し哀愁が漂うものが多いです。
<La mer secrète>
Quand nul ne la regarde,
La mer n’est plus la mer,
Elle est ce que nous sommes
Lorsque nul ne nous voit.
Elle a d’autres poissons,
D’autres vagues aussi.
C’est la mer pour la mer
Et pour ceux qui en rêvent
Comme je fais ici.
≪密やかな海≫
誰も海を見ていないとき
海はもはやその海ではない
海は私たちが
誰にも見られていないときのようになるのだ
海は他の魚たちを住まわせている
そして他の波たちも
それは海のための海
そして夢を見ている人のための海
私がここでしているような
(訳:私)
読める人は私の訳を当てにせず、原文を読んでほしいです・・・
私はこの詩に一目ぼれしました。なんだか心に染み渡ってきます。彼の世界観は大体こんな感じです。(イメージできましたか?)
シュペルヴィエルは水をテーマにしたお話が多いみたいです。
「海に住む少女」シュペルヴィエル作、永田千奈訳(光文社古典新訳文庫)
この、「海に住む少女」は表題作以外にも沢山の短編が収められています。海の上に浮かぶ島に住む謎の少女の物語、セーヌ川に流れる死体の物語、ノアの方舟の物語、、、
色んな「水」がでてきますが、どのストーリーも少しもの悲しさがあります。
「人さらい」シュペルヴィエル作 永田千奈訳(光文社古典新訳文庫)
「人さらい」では、様々な場所で子どもを誘拐しては養育する、優しき大佐が主人公です。(誘拐犯なのに優しいところがポイントです。)大佐は南米出身で、そのことにコンプレックスを持っているみたいです。彼が南米に渡航するシーンで書かれる海は、なんだかもの悲しく、おそろしさを感じます。
ところでシュペルヴィエルの作品を読むと、なんだか夢の中に入り込んだような気持ちになります。
海が好き、水が好き、最近夢を見てないなーという人は、ぜひご一読あれ。
文章:恵