名古屋大学読書サークル

サークルメンバーがゆるりと記事を書くスペースです

こんにちは、一年の黒谷です。

11月に入り、だんだん寒さが厳しくなってきましたね。

自分は暑さよりも寒さが苦手なので、毎年この時期はとても憂鬱です。

さらに最近は寒さに呼応してか、一年前の受験期の辛かった思い出がふいによみがえってくるようになったので、ますます憂鬱です。

今回は、そんな苦しかった受験期にモチベーションを上げるために読んでいた、大学生を主人公とする本を紹介いたします。

 

①江神二郎の洞察

 1980年代の京都を舞台に、推理小説研究会に所属する4人の大学生が周囲で起きる事件を解明してゆくお話を集めた短編集。授業ノートを盗んだ犯人探しや、なじみの古書店主が突然始めた蕩尽の理由の推理など、学生ならではの身近な謎がテーマとなっているものの、続く推理はとてもロジカルで一遍一遍にかなりの読みごたえがあります。また、最後に明かされるトリックの魅力もさることながら、途上で行われる部員間でのテンポ良い推理合戦も楽しく、引き込まれます。人死にがなければ物足りないという方には、孤島や嵐の山中などで彼らが連続殺人事件と対峙する、同シリーズの長編作品もおすすめです。

 

②新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)

新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)

 

 表題作『走れメロス』をはじめ、近代文学の傑作五篇を舞台を京都に、主人公を大学生に置き換え作られたオマージュ作品。不勉強にして五篇の内三篇しか原作を知らなかったため、残り二篇は原作を読み終わるまでおあずけにしようと決意し読み始めたはずが、絶妙なユーモアと軽妙なテンポに圧倒され、いつの間にかすべて読み切ってしまいました。読んでいる間はひたすらに楽しかったのですが、描かれる大学生活の自由な楽しさの裏に、その時間が有限であるがゆえの苦悩や不安が見え隠れして、数年後の自分に少しだけ不安を感じたのを覚えています。楽しい時間とともに、自分が四年間ですべきことを考えるきっかけを得られた一冊でした。

 

動物のお医者さん

愛蔵版 動物のお医者さん 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)

愛蔵版 動物のお医者さん 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)

 

北海道大学 獣医学部の大学生ハムテルが、個性豊かで愉快な仲間達と共に送るどたばたコメディ漫画。少女漫画風の絵とはうらはらに、登場人物同士の掛け合いが絶妙にシュールでそのギャップに惹かれました。さらに、主人公のペットや動物病院の患畜として登場する動物たちがとにかく可愛らしくて癒されます。疲れているときでも思わずくすっと笑える、息抜きに最適な一冊です。

 

以上、大学生が主人公の本を紹介させていただきました。

高校時代に空想していたような素敵な学生生活を送ることはかなわないと分かっていても、せめて普通に大学に通える日が来ることを願わずにはいられません。