初めまして、3年の城です。
コロナの影響で部活の合宿がなくなり、好きなバンドのライブが中止になり、夏休みに計画していた海外旅行に行けなくなり(海外はおろか国内も無理)、、というかさらに状況悪化してないか…? 実習や研究室はどうなるの…?
と、うわぁ!コロナ!!悲しいぃ!!無理!コロナアア!!!
という最近なのですが、本は相変わらずそこにいてくれて、むしろどんどん冊数が増えて下宿の棚から溢れだしました。
【自粛期間に読んだ本①】
「時をかけるゆとり」「風と共にゆとりぬ」/ 朝井リョウ
コロナ第一派の4~6月に読んだ本の中からいくつか紹介していきます。
一作目は、私の大好きな作家、朝井リョウさんのエッセイ2作品。帯のキャッチコピーは、
「圧倒的に無意味な読書体験!」/「時をかけるゆとり」
「読んで得るもの特にナシ!」/「風と共にゆとりぬ」
まず、著者紹介からぶっ飛ばしていて面白い。目次を眺めるだけにやにやする。だって目次のタイトルが「黒タイツおじさんと遭遇する」、「直木賞で浮かれていたら尻が爆発する」(時をかけるゆとり)だ。「風と共にゆとりぬ」の第3部に至っては「肛門記」。面白くないわけがない。
感覚で言ったらコメディ映画を見ているような感じで、ほんとに何も考えずにケラケラ笑っていたら2冊読み終わってしまった。これは読書が苦手な人にこそ読んで欲しい。まじで超くだらなくて超面白いから! 爆笑。
私のこのなんの変哲も無い日常も朝井リョウの手にかかればスーパーウルトラ超絶面白い日常に変貌を遂げるかもしれない。
【自粛期間に読んだ本②】
「砂漠」 / 伊坂幸太郎
「学生時代を思い出して、懐かしがるのは構わないが、あの時はよかったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。そういう人生を送るなよ」 p497
大学に入学した北村は、愛すべきおバカ大学生の鳥居、くすりとも笑わない美人の東堂、超能力が使える控え目な南、訳のわからない熱い心を持つ西嶋の4人と知り合う。
もともと鳥瞰型で冷めていた北村だったが、彼らと一緒に様々な出来事を経験するうちに成長し、自分の気持ちを表現できるようになる。
「学生は、小さな町に守られているんだよ。町の外には一面、砂漠が広がっているのに、守られた町の中で暮らしている」 p214
小さな町に守られている大学生だからこそ、自由で無鉄砲で、仲間を救うことができる。
その気になれば、砂漠に雪を降らせることだってできる。
いつかは砂漠に出ていかなければならないと分かっている彼らのモラトリアムは、とても贅沢で、大切で尊い。
彼らのような青春が羨ましいなんて思わない。 なんてことは、まるでない。
【自粛期間に読んだ本③】
「真夜中のパン屋さん」シリーズ / 大沼紀子
暴力、ネグレクト、死、悪意、恨み…
圧倒的な闇の中で生きてきた彼らは、それでも目の前の人に救いの手を差し伸べる。なぜなら、過去の自分をすくい上げてくれた人の存在があるから。
かつて経済状況の悪化から地元一の不良になってしまった弘基は、家庭教師の美和子の温かい手とパンの温もりにすくい上げられ、
今度は立派なブランジェになった彼が、カッコウの母のもとに生まれ幼い頃から托卵、つまり知り合いの家を転々として育てられた主人公の希美をすくい上げようと手を差し伸べる。
自身も決して楽ではない幼少期を送った美和子もまた、たった一言に救われて、人の優しさを知ったから、弘基の傘になることができた。
「パンは平等な食べものなんだもの。囲むべき食卓がなくても、誰かが隣にいなくても、平気でかじりつける。」
「俺がここにおったって、パンはちゃんとうまいままやろ?一緒に食っても、うまいパンはうまいままやろ」 p313 / 「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」
物語の舞台は美和子が残したパン屋。美和子の遺志を継いで、そのパン屋は真夜中にだけ開く。まるで暗闇に灯る光のように。
彼女が店の営業時間を真夜中だけにした理由は何だったのか。誰のための優しさだったのだろうかーーー。
以上が4~6月の自粛期間に読んだ本の中からの紹介になります。
予想通りというべきか、夏休みと緊急事態宣言が丸かぶりしましたね(悲鳴)。
どこにも行けないこの夏は、家で本を読みながらお酒を飲んだりしてみては?
城